田中茂樹「子どもが幸せになることば」は、ホッとする育児書。

・子育てが苦行だと感じている
・子どもに対する言葉がけの具体例が知りたい
・「育児の正解」みたいなものに疲れている

「〜せねば」「〜であらねば」的な考え方に疲れていた時のこと。
子育てのヒントが欲しいなぁと思い、スキマ時間に本屋さんへ行きました。

「最高の」「〜歳までに決まる!」「〜な子に育てよ」
今の自分にとっては地雷のようなガチガチ系育児書がひしめく中、目に留まったのがこの本。


表紙のイラストからして、ゆるい。やわらかい。

私は冒頭の文章を読んでその本を買うか決めるのですが、そこにはこんなことが書かれていました。

子どもがどんな大人になるかという、その結果だけがすべてであるかのように、苦しみに耐えるかのように毎日を過ごしている親がとても多いと、日々のカウンセリングを通して感じるのです。ー8ページ

私のことだ。
っていうかよくぞ そこに気付いてくれた……という思い。

本記事は、この「子どもが幸せになることば」という本をもちろん即購入した しらお(@siraohug)のブックレビューです。
印象的だった内容自分に起きた変化を載せているので、参考になればいいなと。

しらおのように、先述した引用文を「私のことだ」と感じたあなた!
読むと気が重〜くなる育児書は手放して、この本を子育てのバイブルにしませんか?

「子どもが幸せになることば」の概要

一言で言うと……

子どもをなんとかしようとしなくても、大丈夫。

これでした。
もちろんこれだけじゃ「なんのこっちゃ?」だからこそ、この本は存在しているわけですが。

一貫して「ゆったり構えて今を味わっても大丈夫!
子どもは不足した存在ではなく、生まれる時点で生きていくのに十分な本能を備えてくるんだよ」というメッセージが伝わってきました。

それは私にとって心強く、保護者としての責任や不安でガチガチに凝り固まった心を和らげるものです。

しらお

責任を放棄しよう!とは言ってないぞ、構えすぎなくていいぞってことだぞ

「この子のいまの状態が次の段階に成長するのはいつかな?」と楽しみに待つような向き合い方は、ラクです。
不安よりも楽しみが多くなります。
ーーー8ページ「はじめに」

本の構成と対象年齢

取り上げられている子どもの年齢は0歳〜13歳以上。
成長の時期ごとに章が分かれています。

乳幼児〜中学生以降まで、成長段階に応じた子育てエピソードを例に「ありがちなことば」「信じることば」という対比を用いて著者が伝えたいことについて触れる構成です。

あるあるな場面での具体的な言葉がけの例が載っているので、実践しやすいのがいい!
後述しますがこの本を参考に、私は「困ったなぁ〜」を口癖に取り入れました。

しらお

娘を変えようとする自分自身の考え方に変化が!そのおかげで気持ちがラクになってきた気がする

あ、この本は借りるより買う方がおすすめです。
なぜなら対象年齢が幅広く、ながーい期間読むことができるから!

お子さんがまぁまぁ大きいなら話は別ですが、月齢が低いお子さんをお持ちの方なら買って損なしかなーと。

著者である田中茂樹さんのこと

  • 医学部を卒業後、大学院で認知心理学や脳科学の研究
  • 臨床心理士を育てるための大学院で教員へ
  • そこで働くうち脳の働きを調べることから人の心を癒すカウンセリングに関心を持つ
  • 現在は医師として外来診察や往診など地域医療に従事
  • また、カウンセラーとして子育てに悩む親の相談を受ける
  • 20年間、5000回以上の面接を通して育児の問題に関わる
  • 15年ほど地域の子どもたちのレクリエーションサークルを主催
  • 毎週のように数十人の小学生と近所の小学校の体育館で遊びながら関わる
  • ご自身も四人のやんちゃな男の子を育てたお父さん

長い!
でも省略するところが無い……!

とにかく、知識と経験に裏打ちされた子育て論をお持ちであるということがわかる経歴です。

高学歴だから信頼できるとは思っていませんが、この歩み、一度もお会いしたことない方ではあるけれど、信頼せずにはいられません。

 

印象的な内容

子どもは弱いけれど、生き残るための本能を備えて生まれてくる

赤ん坊は弱い存在だけれど「自分が生き残るためにどうすればいいか」「自分が幸せになるためにはどうしたらいいか」という本能を備えて生まれてくる。

ーーー3ページ「はじめに」

これは心理学や脳の研究、医師としての仕事を通じて確信したことなんだそう。
これほど心強い確信があります?!と思いました。

あれこれお膳立てしてあげてやっと子供は一人前になる。そんな、不足した存在であるという前提から、すでに十分な力を備えた存在という前提を持てる。

親が子をどうにかこうにか導いてやらねば!なんて肩肘張かたひじはらなくてもいいという前提です。
気が楽になりますよねぇ。

 

0〜3歳「歯みがきをしないとき・・・」というエピソード

嫌がる子どもを押さえつけてまでやらねばならないほど、それほど絶対必要なことなのか。
その利益衡量りえきこうりょう、つまり「メリットとデメリットはどちらがどれくらい多いのか?」を考えるべきだと思うのです。
ーーー34ページ「第1章 0〜3歳|子どもが世界と出会う時期」

自分で自分のお世話ができない幼児期。
子どもの虫歯は親の責任!

そう考えて嫌がる子どもを押さえつけ、仕上げ磨きするしないのバトルを展開し疲弊。
そんなご家庭多いのでは……。

しらお

わかる、わかるぞー

わかる!と共感しておきながら、うちではぜーんぜん歯みがきがんばってません。
長くなるのでまた別の記事に載せますが、とにかくまともに磨けているとは言いがたい状況なのです……。

そんな中、先日ワンシーズンに一度のフッ素塗布をしに歯医者へ。
内心「絶対磨き残しのこと言われるー、虫歯あったらどーしよー」と不安だったのですが、歯医者さんから言われたのは

よく仕上げ磨きされていますね!申し分なし、綺麗な歯です!

内心びっくりしながらも「あ、ありがとうございますぅ〜」と平静を装った母です。

 

これは決してマウントを取っていたり、歯磨きしっかりできてない私を肯定したいわけでもありません。
本の中で田中さん(著者)もことわっているのですが、「子供は磨かなくても虫歯にならないとか磨きたくないなら磨かせなくてもいいよ」と言いたいわけではないんですよね。

きっちり磨いても虫歯になるときはなるし、逆もあり得る。
「無理強いしてまで、きっちりしっかりやらなくては取り返しがつかないことになる」とは限らないタイプの生活習慣。
幼い子供に今から慌てて叩き込むべき習慣なのか、冷静に考える余地のあるタイプの習慣だと思いませんか?と問うための体験談です。

そうやって冷静に考える余裕が子育てを楽しくすると、本書でも述べられています。
無理強いして子供が歯磨きを嫌いになる方が長い目で見て困るし、毎回バトルは親も子もキッツイですよねー。

予防接種のような、無理強いしてでも子供に必要な行為と比べれば、歯磨きってこれから長い付き合いになる行為。
焦らなくても大丈夫、この本を読んで腑に落ちました。

やがて小学生になれば、磨くようになるんです。
思春期になって、気になる相手ができてきたら、マウスウォッシュやら、ミントガムやら、そんなものまで自分で買ってくるんです。
ーーー35ページ「第1章 0〜3歳|子どもが世界と出会う時期」

うまくいっても手こずっても、少し客観的な視点で、それ自体が宝物ような体験だということを思い出してみてください。
そういうゆとりを持つことができたら、「子どもの歯磨き嫌いぐらいでもないさ!」と、気楽に向き合えるようになります。
ーーー36ページ「第1章 0〜3歳|子どもが世界と出会う時期」

うーん、ニュアンス伝わっているだろうか。

読んで起こった変化

「困ったねぇ〜」で自分も子どもも一旦受け入れられるように

先述した「歯みがきをしない・・・」というエピソード。
ここで本に書かれている言いがちなことばが「歯を磨かないと虫歯になるよ」
そして信じることばが「困ったもんだ!」とされています。

この「困ったもんだ!」
しょうがないな〜、今はまだその時期じゃないのね〜。といった受容的なニュアンスがあるなと感じました。

保護者としてはやってほしいことを、子どもは嫌がる。

やってほしい保護者の気持ちと、嫌がる子どもの気持ち。
どちらも否定しない言葉で使い心地がいい!

早速さっそく生活に取り入れて、

しらお

ご飯だよー
いらなーい

しらお

困ったなぁ〜、じゃあ……

次の一手を打つ考えるときに、一旦お互いの思いを受け止める緩急剤として。

しらお

これはこっちに戻しておくね〜
だめ!これはここにいれておくの!

しらお

困ったなぁ、ここに無いとママ困っちゃうんだよねぇ。

「私はこう思う」という “I message”へ展開する。
相手に命令しているわけではないから角が立たず伝わりやすいんだそうですよ。

このことばを使うようになったから劇的に子育てがラクになったとか、そんなことはあり得ません。
でもでも、すこーしづつ、明らかに気持ちが軽くなっているのは事実です。

 

こんな人に読んでほしい

  • 子育てがなんかしんどい
  • しんどいと思っている自分がイヤ
  • 周囲の子と比べて遅れや違いがあることに焦っている
  • 子にやさしく接したい、でもやさしくしては子がダメになるのではという不安と戦っている

こんな人に是非読んでほしいなーと。

ここでは触れていませんが、

  • 子どもが急かしてくるとき・・・
  • 弟や妹が増えて、わがままが増えたとき・・・
  • 買い物で駄々をこねているとき・・・
  • 親からみて間違ったことを主張してきたとき・・・
  • 親が言わないと何もしないとき・・・

こういったあるあるな場面について全部で29エピソードに渡って触れられています。

また、

  • 子育て本を読むべきか
  • 我が子が「発達障害かもしれない」と思ったら
  • 子どもの遊びに付き合う意味

などなどのコラムも参考になりました。

これらのトピックが気になった方は是非本を手に取ってほしいです。
立ち読みでもいいから!

子育てに迷った時、何度も読み返したくなる。
しらおにとって本棚にあるお守りのような本です。

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